2016年09月24日

隣の家の木の枝・果実・根が越境してきた場合の対処方法(不動産お悩み解決)





今回の記事では、実際にお客様からご相談があった事例の中から、

隣家との越境(隣の家の木の枝・根・枯葉等が自分の敷地に入り込んでいる)問題について

解説します。



隣家の木の枝が自分の敷地内に入ってきて困った




お隣近所と良好な関係が築けていれば、越境問題は大した問題にはなりにくいですが、

必ずしも近所の方との関係が上手くいっているというケースはそんなに多くは無いかと思います。

ご近所付き合いをあまりされておらず(あいさつ程度しかしていない等)、実際に隣家の木の枝が

自分の敷地内に侵入してきた場合はどうすれば良いのでしょうか?


それではまず基本的な法律(民法)の考え方をご紹介します。



【隣家の木の枝は勝手に切る事が出来るのか?】

まず、木の枝の越境問題ですが、隣の家の木の枝が伸びてきて自分の敷地内に入ってくると、

日当たりが悪くなったり、建物の外壁や屋根にかかり、キズや損傷の恐れもあります。

また、木の枝が自分の敷地の屋根までかかってくると枯葉が雨どい等につまり、

雨水の排水が悪くなり、最悪の場合は雨漏りの原因に繋がってしまいます。


そういった事由にならない為にも木の枝越境問題はすぐに解決したいというのが

皆様の率直なお気持ちだと思います。


では法律の解釈はどうなっているのでしょうか?



隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる(民法233条1項)

上記のように枝を切除してもらうように隣家に対し請求が出来るとありますので、勝手に木の枝を切る事は出来ません。

なお、この請求はどのような場合にもできるものではなく、庭木の枝が張り出していることにより、

何らかの損害が現に生じているか、または生じるおそれが存在する場合でなければ認められません。

何も被害を被っていないのに、切除を請求するのは権利の濫用になると考えられています。



基本的に、木の枝が自分に敷地に入り込み、実害を受ける又は受ける恐れのある場合

(建物にあたる、雨どいの所まで伸びてきている、採光の確保が取れなくなった等)には

隣家の方に被害の状況を説明し木の枝の伐採をお願いする事が一番の解決方法です。



しかしながら、隣家の方の状況にもよりけりですが、経済的事情などで伐採費用の捻出が

困難な金銭的理由や隣家が空き家になっていて所有者が遠方にいたり、

所有者が今どこにいるか不明の場合もあるかと思います。

そういったケースの場合の解決事例もご紹介致します。



まず隣家の方が経済的事情で伐採費用を出す事ができない場合ですが、

隣家の方とよく話し合い、本当に伐採費用を捻出する事すら難しい状況なのかを確認します。

子供さんや親せきの方々に費用を負担して頂く事ができないのか?などを提案します。

上記提案をしても身寄りがなく、費用負担をしてくれるような人のあてもなく、

どうしても今すぐに費用負担が出来ないという事が把握できれば、

まずは自分が伐採費用を立て替えるので月々分割でもいいので返済して頂く

お話をするのも一つの方法です。

(但しこの方法は、分割払いが滞り、最悪は費用回収が出来ない恐れも考えられますので

そのようになった場合は、自己負担になる事を解った上でご相談した方が良いかと思います。)



最終手段として庭木の所有者に枝の切除を何度もお願いしても、これに応じてもらえない場合は、

所有者に対して訴訟を提起して、所有者の費用で枝を切除する

ように請求することが出来ます。(民法414条2項)


但し、こちらの方法を取ってしまうとお隣様との関係を非常に悪化させてしまいますので

あくまでも最終手段としてお考え下さい。




次に、隣家が空き家でその所有者がどこに住んでいるか解らず、相談したくても

出来ない状況の場合ですがこちらの場合は、まずは法務局等に行き、

隣地の地番を調べる事が出来れば、隣地所有者の方の登記簿情報等を取得でき

所有者有者の氏名・住所等が分かる事があります。


上記方法でも連絡が付かない場合(所有者の住所が変更になっており、

お手紙を出しても宛先不明で返ってくる等)は各自治体(市町村)に

ご相談する事が良いかと思います。

隣家との木の枝越境の件で非常に困っていると自治体に訴えかければ自治体によっては、

所有者とコンタクトを取ってもらえる場合があります。




【隣家の木になった果物は勝手に採っても良いか?】

こちらについては、皆様お解りだとは思いますが、もちろん勝手には取ってはいけません。

木の枝になっている果実が自分の敷地側に入っていたとしてもその果実は隣家の方の

所有物になりますので勝手に採ってしまうと窃盗になってしまいます。




【隣家の木の根は勝手に切る事が出来るのか?】

次に根っこについてのお話です。

木の枝については勝手に切る事が出来ない事がお解り頂いたかと思いますが、「根」についてはどうでしょうか?

ここでも民法によりますと


隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる
(民法233条2項)

上記のように木の根に関しては、勝手に切っても良いと記されてあります。

但し、根っこの大部分を切除してしまったり、太い根っこを切ってしまったら、

隣家の木が枯れてしまう恐れもありますので注意が必要です。

民法上は勝手に切ってもよいとされていますが、お隣さんにも切除する事を一言、

お伝えしておいた方がより望ましいですね。


ちなみにこの木の枝・木の根っこの問題でイメージをしやすい例えがありまして、

隣家の「竹の枝」は勝手に切ってはいけないが、「タケノコ」は勝手に切ってもいい

(採ってもいい)とされています。

但し、こちらも一般常識的には、隣家からの「タケノコ」も採る場合には

ひと声かけておいた方が良いでしょう。



【まとめ】

いずれの場合でも越境問題に関しては、一回話がこじれると隣同士でも将来に渡り

険悪になってしまい、しいては、子供さんや、お孫さんの代まで越境問題が

続く事もありますので常日頃よりご近所さんと良好な関係を築き、

お互いが普段から気を付ける事で平和で安心した毎日を送る事ができます。

万が一、何か不測の事由が起きた場合でも話し合いで円満に解決できるように努めていきましょう。




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Posted by 九州ホーム at 19:29│Comments(0)不動産お悩み解決
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